慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)とは
COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease/慢性閉塞性肺疾患)は、主にタバコの煙が原因で肺に慢性的な炎症が起き、空気の通り道(気道)が狭くなったり、肺そのものが壊れてしまう病気です。ゆっくりと進行するため気づきにくく、次第に息切れや咳、痰の症状が強くなっていきます。 山口県では、COPDによる死亡率が全国でワースト2位という深刻な統計が出ており、病気自体の認知度もまだ十分とは言えません。これは地域の大きな健康課題のひとつです。
「年のせいかも」「少し動くと息切れするけど気にしていなかった」
そんなふうに感じている方の中にも、実はCOPDが隠れていることがあります。
喫煙歴のある方(過去に喫煙されていた方も含みます)で、息切れや咳、痰などの症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
早めに気づき、対処することが、将来の健康を守る第一歩になります。
COPDの症状
40歳以上で喫煙歴のある方は、以下のような症状があればCOPDの可能性があります。
こんな症状はありませんか?
- 階段や坂道で息切れを感じる
- 咳やたんが長引いている
- 風邪が治りにくく、咳やたんが続く
- 呼吸のたびにゼーゼー・ヒューヒューと音がする(喘鳴)
- 朝起きたときに痰がからみやすい
これらの症状は、COPDの初期サインであることが少なくありません。 早期に発見し治療を始めることで、進行を食い止めることができます。
COPDの診断
COPDが疑われる場合、以下のような検査を行い、病気の有無や進行の程度を確認します。いずれの検査も、外来で受けられる簡単なものです。
呼吸機能検査(スパイロメトリー)
COPDの診断で最も重要な検査です。大きく息を吸って吐き出していただき、肺の働き(息をどれだけ早く、どれだけ多く吐き出せるか)を調べます。気道がどれくらい狭くなっているかを客観的に測定できます。
胸部レントゲン
肺の状態を画像で確認し、肺気腫の有無や他の病気との鑑別に役立ちます。
COPDの治療
COPDは完治が難しい病気ですが、早期に治療を始めることで進行を遅らせ、日常生活をより快適に過ごすことができます。治療の目的は、呼吸を楽にし、悪化を防ぎ、生活の質を保つことです。
治療の主な内容
- 禁煙
- 薬物療法
- 呼吸リハビリテーション
- ワクチン接種
- 在宅酸素療法
もっとも重要な治療です。タバコをやめることで、今後の肺機能の低下を抑えることができます。当院では禁煙外来も行っており、禁煙が続けられるようサポートしています。
吸入薬を中心とした薬物療法を行います。
気道を広げて呼吸を楽にする薬を使うことで、息切れや咳などの症状を改善します。
継続的な使用で効果が発揮されるため、正しい使用方法と継続が大切です。
呼吸法や運動療法を取り入れ、息切れを軽減し、体力を維持することが目的です。
肺炎やインフルエンザはCOPDを悪化させる要因となります。 肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンの接種が推奨されます。
病状が進んだ場合、在宅での酸素吸入が必要となることがあります。
COPDの合併症と全身への影響
COPDは肺だけでなく、全身にもさまざまな影響を及ぼす病気です。
肺がんや肺炎、肺高血圧症、気胸、心血管疾患、骨粗しょう症、糖尿病、うつ症状などの合併症を引き起こすこともあります。
こうした合併症は、症状の悪化や生活の質の低下、さらには命に関わることもあります。
「まだ大丈夫」と思わず、気になる症状があれば早めに受診しましょう。
早期の診断と治療が、健康を守る第一歩です。
